センスを磨くとは違和感を言語化し続けること
昨日読んだ「センスのよい考えには、「型」がある」を読んだ感想です。
「センスがいい」とはよく私たちが使うモヤモヤ言葉だと思っています。なんか良いんだけど、何が良いかは言葉にできない時の褒め言葉に使われがちだからです。
筆者は電通のマーケターなので言葉にしきれていない「あったらいいな」を言語化するのが仕事です。この本では「センスの良い」とは感覚や本質を言語化する能力のことを指しており、それをインサイトと名付けています。
タイトルにも書かれている「型」とは、このインサイトを生み出す手順を指しています。
具体的には、以下の5つのステップで体系化されています。
- 違和感に目を向ける(感性力): 日常生活の中で「あれ?」と感じる、直感的な気づきや違和感を大切にします。感情が動く瞬間は、予測とのズレがある時であり、そこにインサイトの種が隠されています。
- 常識を明確にする(常識把握力): 違和感を抱いた対象が、どのような「常識」や「定説」に基づいているのかを正確に把握します。このステップが、その違和感がインサイトに成長するかどうかを判断する鍵となります。
- 本音を問いかける(問題提起力): 当たり前だと思われていることに対して、「なぜ?」という疑問を投げかけます。提示された8つの問い(例:主観の問い、破壊の問い)を活用して、多角的に本音を深く掘り下げます。
- 言葉にする(言語化力): 掘り下げた本音を、自分自身が納得できる言葉に明確に表現します。曖昧な感情を「類義語」や「対比表現」を使って輪郭を明確にし、シンプルで説得力のある言葉にまで磨き上げます。
- 信じてもらう(説得力): 自分の立てた仮説を、客観的な事実や他者との対話を通じて検証し、誰もが納得できる「リアルな物語」に仕立て上げます。観察、インタビュー、内省など多様な手法を駆使し、説得力を高めます
一番重要なのはステップ1の違和感についてだと思っています。カメラで撮影するようになり、自分で良い!と思う写真とそうじゃない写真の区別を言語化するようにしています。プロの撮った写真集やSNSで流れてくる写真を見て、言葉にできない感動を覚えることがあります。その言葉にできない部分に、写真撮影のセンスが詰まっていると思うのです。
これは私の持論ですが、人間の五感の中で一番センスを磨きやすいのは視覚だと思っています。なぜなら、私たちが受け取る情報の多くは目を通して得るからです。だから絵、写真、広告、動画、ポスター、本、Webページには目を止まらせ商品に手をとってもらえるような工夫がされている。つまりセンスのあるものを無意識に沢山見ていると思うんです。
自分がいいなと思って手に取った本、Web、写真について、何故良いかと思ったのか。それは自分の感性に訴える違和感があるからであり。その違和感に対して素通りするのではなく、拾って考えていくことがセンスを磨く訓練になると思いました。
最近写真の本をみて感じているのですが、絵、映画、写真、広告などの目を通してみる芸術には鉄則が共通しているということ(構図、ビジュアルウェイト、視線誘導、色味等々)。
そのため、写真を深く勉強してみると絵、映画、広告などに対する見方も1段階深くなる。見る視点が広がることで楽しみが増え、人生に彩りが増す。そのように考えています。
五感に関する芸術の分析はまた後日書きます。
ほなまた!